トラブルにならないための〜法律の相続対策
トラブルにならないための〜法律の相続対策
文書作成日:2025/06/20
死後認知

今回は相談事例を通じて、死後認知について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 先月、私の夫が亡くなりました。私と夫は長年内縁関係にあったため、私は相続人にあたりません。また、私と夫の間には今年30歳になる娘が1人おりますが、夫が認知する前に亡くなってしまいましたので、娘も法的には夫の子とは認められず相続人にはあたらないと、先日、知人から伺いました。

 私は内縁だったので仕方がないと思っておりますが、娘は正真正銘の夫の子なのに相続ができないなんて、あまりに可哀そうでなりません。何かよい方法はないのでしょうか。
 また、現状、相続人は夫の兄と妹の2名ですが、遺産分割協議が整ってしまった場合、何かしらの請求ができるのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 「死後認知」という手続きを行うことにより、ご息女は法的にもご主人様の子として相続人になることが可能です。また、他の相続人による遺産分割協議後でも認知された者(被認知者)には、価額による支払請求権が認められています(民法910条)。
 本件でいいますと、現相続人は被認知者(ご息女)の出現により相続権を有しなかったことになりますので、ご息女は相続回復請求権(民法884条)による請求も可能だと考えます。

A-2
詳細解説

 死後認知について、「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。」と規定されています(民法787条)。

 そもそも「認知」とは、婚姻外に生まれた子(非嫡出子)について、父又は母が、その子を自己の子と認めることをいいます。「認知」をすることにより、非嫡出子にも法律上の親子関係が成立します。

(※)母との親子関係は分娩の事実により当然生じるため、母子関係の成立に認知は不要とするのが通説です。

 「死後認知」は、本件のように父親が生前中に「認知」をすることなく亡くなってしまった場合に有効となる法律です。子もしくはその法定代理人が認知の訴えを提起することができますが、請求期間が父親の死亡後3年以内になるため注意が必要です。

 「死後認知の訴えの提起」やその先の「他相続人への請求」等、ご自身ですべてを対応するのは難しいと思われるため、早い段階で専門家にご相談されることをおすすめします。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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