トラブルにならないための〜法律の相続対策
トラブルにならないための〜法律の相続対策
文書作成日:2025/08/20
死後離縁

今回は相談事例を通じて、死後離縁について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 私の父(養父)が先日亡くなりました。私は母の再婚に伴う代諾養子縁組により、父の養子となりましたが、昔からずっと父方の親族から暴言や皮肉を言われてきました。以前までは父が守ってくれていましたが、父が亡くなった今、嫌がらせや暴言がエスカレートし、私は精神的に参ってしまいました。私は父方の親族と親族関係を終了させたいと思っていますが、何か良い方法はありませんでしょうか。

 また、母は父の遺産はすべて私に相続してほしいと言っておりますが、上記問題解決のため何かしらの対応をしたとしても、相続関係に影響はありませんでしょうか。法的にどのような扱いになるのかご教示いただけますと幸いです。

A-1
ワンポイントアドバイス

 「死後離縁」という手続きを行うことにより、お父様との離縁が成立すれば父方との親族関係を終了させることができます(民法729条)。ただし、死後離縁が認められるためには家庭裁判所の許可が必要となります(民法811条6項)。遺産を相続しながら扶養義務や祭祀を免れるためといった、明らかに不純な理由の場合、許可審判はされないので注意が必要です。

 なお、死後離縁をした場合でも、すでに生じた相続における相続人の地位に影響はなく、遺産を相続することができます。

A-2
詳細解説
1.「死後離縁」の手続きについて
  1. @ 養子であるご本人が、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
  2. (※)養子が15歳未満の場合は、法定代理人が申立てを行うことになります。
  3. A 家庭裁判所による許可審判の確定後、「審判書謄本」と「確定証明書」を持参し、市区町村役場に養子離縁の届出を行います。
  4. (※)「確定証明書」は、審判をした家庭裁判所に申請書を提出することで交付を受けられます。
  5. (※)家庭裁判所の審判に不服があれば、審判結果の連絡を受けてから2週間以内であれば不服申立てをすることが可能です。
2.離縁後の養子の氏について

 原則、縁組前の氏に戻ることになりますが、離縁の日から3ヶ月以内に市区町村役場に届け出ることにより、引き続き縁組中の氏を称することができます。

 ただし、「縁組の日から7年を経過して以降の離縁の場合」という要件があるので、養子縁組の日から7年経過前の離縁の場合は、復氏することが原則となるので注意が必要です。

  1. (※)7年経過前の離縁の場合でも、家庭裁判所による「氏の変更」に関する許可審判がされれば、縁組中の氏に変更することは可能です。判断基準としては、「やむを得ない事由(氏の変更をしないとその人の社会生活において著しい支障を来す場合)」があるかどうかが基準となります。

 「死後離縁」は家庭裁判所や役所への届出、証明書類の取得など煩雑で時間のかかる手続きが多くあります。そのため、専門家に相談の上、進めていただくことをお勧めします。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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